白手袋  2000年代の中国の政治権力と民営企業

中国の企業統治が抱える問題を生み出す構造は、結局のところ変わってないと改めて思う。

2000年代の初めのころ、現場ではよいビジネスをやっているのに、突然として資金繰りが悪化する企業がしばしば現れた。そういうときは、往々にして国有資産管理委員会の持ち株比率の多い持ち株会社、つまり集団公司に利益が輸送されていた。当時、国有企業は政府のお財布にならざるを得なかったのである。そうしたリスクを「集団公司リスク」と呼んで、この回避するためにも、民営化が必要だろう、という文章も書いたことがある。
が、こうした集団公司と上場企業の間の関連取引をめぐる証券監督管理委員会のディスクロージャー要求がぐんと厳しくなり、ひとつひとつの取引について会計監査が求められるようになると、国有集団公司への利益輸送は目に見えて減っていった。
とはいえ、それで世の中がすべてクリーンになったわけではなく、代わりに起きてきたのは、民営企業が権力に「白手袋」を貸すという状況。権力者や政府のためのお財布やロンダリング機能を民営企業が果たす代わりに、銀行借り入れなどの際に必要な信用を政府から提供してもらう。いわば権力が第二身分に閉じ込められている民営企業の弱みに付け込んだ関係が生じている。

バフェットの投資も受けたことがあり、非常に快適なエアラインである海南航空も、もうひとつの顔である、この「白手袋」の役割を果たしていたのだろう。この海南航空の背景にいたのが、郭文貴がいうように王岐山なのかどうなのかはわたしにはわからないけれど、この点をめぐる矛盾を明らかに説明することができず、銀行からの融資が厳しくなり、流動性危機に陥っている。海南航空のほかには、不動産の万達の王建林や、安邦保険の呉小Hui、明天系と呼ばれる投資会社群を束ねていた肖建華など、が、噂されている。

企業家は社会に価値を作ってなんぼ、政治とのコネで利益を上げても、そのビジネスモデルはあまりにもろいと思う。そして、政治との関係に頼らなくても誰でも価値を作ることができるようにするのが、level plain fieldということで、包括的な政府が作るべき環境だろう。こういうことを書くと、世間を知らないとか、学校の先生のキレイごと、という人もいるのかもしれないけれど、誰もそういう話をしなくてもいいのだろうか、とも逆に思う。

 

ロイター 2018 January 18 Exclusive: China’s HNA Group, squeezed on cash, looks to turn corner

ブルームバーグ 2018 January 30 海航集団、1-3月に約2580億円の流動性不足に直面も-関係者

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