中国経済経営学会2017 トランプー習政権下での米中経済関係:競合か競争か

中国経済経営学会のために準備してきた、トランプー習政権下での米中経済関係という共通論題が終わりました。アメリカからハワイ大学のEric Harwitさん、中国から復旦大学の陳建安さんに、政治経済学的な視点から報告をしていただきました。Ericさんは、いまは北朝鮮問題がファースト・プライオリティになるので、貿易問題は焦点にはならないだろう、という見通しを示してもらいました。陳さんの報告からは、中国が日本が1980年代に半導体協定、自動車協議などにぶちあたったときと同じ反論を繰り返さざるを得ない状況を感じました。
この2つのマクロ視点からの分析に続いて、イノベーションの核になる半導体産業での米中の関係、ポジションについて、実務家の立場から報告をしていただきました。香港でパワー半導体ビジネスを手がけるTony Chauさんです。彼の報告からは、現時点では、特に半導体装置の部分で2世代遅れていること。これはアメリカからの輸出と買収禁止、知的財産権の制約があることが原因であり、その結果、中国の半導体の輸入額は原油を上回り、海外依存度が高いことを指摘してもらいました。が、現在の資本と研究への投入から、中国が半導体で海外依存度をなくし完全に独立することをめざしており、それが可能であるだろう、という見方を報告してもらいました。
フロアから、半導体産業の研究も手がけている研究者、しかも中国出身の研究者から、Tonyさんの見方は楽観的すぎるだろう、というコメントが相次ぎました。このイノベーションの最先端を担う半導体について、見解が分かれたのが、わたしは面白かったです。
ただ、この分野の政治経済学を考えるとき、アメリカに対する日本と中国の大きな違いは、中国は軍事的にアメリカに対して従属していない、もしくは敵対しているとも言えるということです。とすれば、中国の技術の進歩をアメリカが押さえつけることは不可能です。この意味で、わたしは香港のTonyさんの見方が実現する可能性は否定できないと思いました。業界の中にいる人にはすでに見えている、長期的・動学的な産業の成長の可能性についての見解がもつ意味は大きいと思います。

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